「自己破産した場合の財産」に関するお役立ち情報
自己破産と財産隠し
1 自己破産で財産隠しをすると、借金がチャラにならない
自己破産では、目ぼしい財産があればお金にかえて債権者に分けなければならないので、財産を隠したいという誘惑が起こりがちです。
しかし、自己破産で財産隠しをすると、様々なペナルティーがありますので、絶対にしないでください。
まず、自己破産で財産隠しをすることは、免責不許可事由(借金をチャラにしてはいけない事由)にあたります(破産法252条1項1号)。
手続き中に財産隠しが発覚した場合は、基本的に借金がチャラになりません。
また、手続きが終了した後で発覚した場合も同様に、免責が取り消される(破産法254条)ことがあります。
2 財産隠しをすると、正しく申告すれば残せた財産が残せなくなることがある
自己破産しても、自由財産拡張といって、生活に必要最小限の財産を残せる制度があります。
そのため、保険や預金で少額のものは残せることが多いのですが、申告していないことが発覚した場合は、基本的にお金にかえて債権者に払わなければなりません。
3 自己破産で財産隠しをすると、刑事罰を受けることがある
自己破産で財産隠しをすると、詐欺破産罪(破産法265条)等にあたり、10年以下の懲役や1000万円以下の罰金が法定刑として定められています。
4 財産隠しがばれることが多い理由
弁護士が自己破産を検討している方の相談にのっていると、裁判所に申告しなくてもばれないのではないかと思われている方もいらっしゃいます。
しかし、破産手続きでは、全ての口座、所得課税証明書・源泉徴収票、給料明細を提出するほか、債権者からのカード利用明細等も提出することになります。
口座にのっているものやクレジットカード利用明細で保険やお金の出入りの多くは分かりますし、不自然な説明では現在の預金残高と合わなくなります。
また、破産管財人が就任する管財事件では、破産する方の郵便物が全て破産管財人に転送されます。
これで、保険会社、銀行、税務署からのお知らせや、とっているDMの内容で、申告していない保険や口座が見つかることも多いです。
裁判所や弁護士がするプロとしての資料の読み方は、一般の方には分からない点が多いものです。
5 申告していない財産に気づいた場合は、弁護士に報告する
故意に財産を隠す方が自己破産できないのは仕方ないですが、中には、誤って財産の一部を申告し忘れる方もいらっしゃいます。
この場合も、財産隠しと評価されてしまえば借金がチャラになりません。
そのようなときには、最初に申告できなかった理由とともに、速やかに依頼した弁護士に相談することをおすすめします。
実際に、残高も少なく、長期間使っていなかった口座が新たに見つかったが、借金がチャラになったという方も複数いらっしゃいます。
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