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少額管財と通常管財の違い

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年5月22日

1 自己破産には、同時廃止と管財事件の2種類があり、管財事件の中にも区別がある

自己破産には、同時廃止と管財事件の2種類があります。

同時廃止とは、目ぼしい財産がなく、借金が増えた経緯にも問題が少ない場合に、破産手続開始決定と同時に手続きを廃止するものです。

破産管財人がつかないことが特徴になります。

同時廃止になった場合は、裁判所に支払うお金は、約1万5000円ですむことになります。

一方、管財事件とは、目ぼしい財産があるか、借金が増えた経緯に大きな問題があるもののことです。

同時廃止とは違い、破産管財人という弁護士が裁判所から選ばれます。

そして、この管財事件は、さらに少額管財と通常管財という2つの区別に分けられます。

2 少額管財と通常管財は、裁判所に支払う金額が異なる

少額管財と通常管財は、破産管財人がつくという点では共通しています。

ただ、裁判所に納める金額が異なってきます。

少額管財事件では、約20万円強であるのに対し、通常管財事件では、裁判所や案件ごとに違いますが、40万円からになります。

このため、通常管財の場合は、自己破産にかかるお金の負担がより大きくなります。

それでは、なぜ、少額管財と通常管財で金額が異なるのでしょうか。

3 通常管財は、管財事件の中でも複雑で問題が多い案件

少額管財と通常管財で裁判所に支払う金額が異なる理由は、通常管財は、少額管財と比べて、破産管財人の業務量が多い複雑な案件だからです。

複雑な案件とは、例えば一定規模以上の事業をしている、不動産やお金に換えるのが大変な財産がある、一部の債権者だけまとまって返済しており破産管財人が取り返す必要がある、などが典型例になります。

4 通常管財でなく少額管財にするためのポイント

自己破産では、同時廃止になるといいのですが、例えば20万円以上の財産がある場合や、ギャンブルや投資の失敗で大半の借金ができた場合等、どうしても管財事件になるケースも多いです。

そんな中でも、少額管財ですむか通常管財になるかは、弁護士の力量にも左右されます。

弁護士が問題点をできるだけ減らし、問題点があっても解決方法を説明することで、少額管財でよいと認めてもらえるかどうかが変わる可能性があります。

また、借りている事業所があればきれいに明け渡す、お金にかえるのが難しそうな財産は自力でお金にかえる、お金の流れが適切であることを簡単に証明できるよう領収書等をとっておき家計の状況を正確につける等、自己破産する方の努力による面も大きいです。

少額管財でいけないかどうかお悩みの方も、お気軽に弁護士までおたずねください。

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少額管財事件の種類について

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年11月17日

1 少額管財事件とは

少額管財事件とは、自己破産する方が、20万円程度のお金を裁判所に納めて、裁判所が管財人という弁護士を選任する事件です。

管財事件となる場合には、原則40万円以上のお金を裁判所に納める必要があることとの対比で「少額」と呼ばれます。

少額管財事件には、大きく分けると2つの種類があります。

借金が増えた経緯に問題のあるタイプと財産が一定程度ある疑いがあるタイプです。

2 借金が増えた経緯に問題のあるタイプ(免責観察型)

一つ目の、借金が増えた経緯に問題のあるタイプは、免責観察型とよばれます。

自己破産では、借金が増えた経緯に大きな問題がある場合は、免責が許可されず、借金の支払義務がなくならないことがあります。

そこで、借金が増えた経緯に問題がある場合は、免責を許可してよいかどうか、管財人が生活状況や手続きへの協力の程度等を観察することになります。

この場合、自己破産する方は、管財人が借金が増えた経緯を調査するのに協力し、毎月家計簿をつけ、管財人と面会する等して、積極的に生活状況を改善する努力をしていることを認めてもらわなければなりません。

借金が増えた経緯に問題がある例として、ギャンブルや投資に失敗したことで多額の借金ができた場合、高価なブランド品を買う等無駄づかいによって多額の借金ができた場合等があげられます。

接待・交際費や食費が多すぎる場合等も浪費にあたり、この免責観察型の少額管財事件になるケースは少なくありません。

少しの無駄づかいがある場合に、同時廃止ですむか少額管財事件になるかの境目は、判断が難しいケースが多くあり、依頼する専門家によって裁判所の判断が変わるケースが多い類型でもあります。

3 財産が一定程度ある疑いがあるタイプ

二つ目の、財産が一定程度ある疑いがあるタイプは、「積立・清算型」とよばれる実際に価値ある財産をもっている場合と、「調査・確認型」とよばれる財産がある可能性が残っている場合に分けることができます。

⑴ 積立・清算型

積立・清算型の例は、時価20万円を超える保険や車を持っている場合です。

管財人は、生活状況やその財産が必要な理由等を考慮して財産を残すことを認めるか、財産をお金に換えて債権者に分けるか判断することになります。

時価何円を超える財産があれば少額管財事件になるかは、裁判所ごとに異なりますし、財産の種類によっては、少額管財事件より費用がかかる通常管財事件になることもありますので、詳細は弁護士までお尋ねください。

⑵ 調査・確認型

調査・確認型は、資料が不足していたり、借金が増えた経緯の説明が不自然である等で、財産がないことを証明できていない場合です。

管財人は、本当に財産がないのか、もしくはなくなった財産を取り返すことができないか等調査・確認することになります。

このパターンは、十分に資料を集めたり説明をつくせば同時廃止になる可能性もある一方、親族にだけ多額の返済をする等明らかに法律が認めていない行為が原因で財産がない場合は、さらに費用がかかる通常管財事件になる場合もあり、注意が必要です。

4 適切に自己破産を行うために

一言で「自己破産」と言っても、状況に応じて様々なバリエーションがあり、適切に自己破産を行うためには、高い専門性が求められます。

名古屋にはたくさん弁護士がいますが、適切に自己破産を行うためには、本当に自己破産に詳しい弁護士に相談することが重要です。