「自己破産の手続」に関するお役立ち情報
自己破産で支払い義務を免れるのにかかる期間
自己破産をすると借金の支払い義務を免れることができ、これを免責と言います。
では、自己破産の手続きを始めてから、免責までにどのくらいの期間がかかるのでしょうか。
手続きがどのように進むかによって、期間が異なりますので、自己破産の手続きの流れに沿ってご説明いたします。
1 自己破産の手続の流れ
⑴ ご依頼、受任通知の発送
自己破産をご依頼いただきますと、各債権者に対して受任通知を発送します。
この受任通知は、債務整理の問題は今後すべて弁護士を窓口とするという旨を債権者に知らせるものです。
貸金業者がこの受任通知を受け取ってからは、借金の問題について債務者と直接電話等のやり取りをすることは法律で禁止されています(貸金業法21条1項9号等)。
したがって、受任通知の発送後は、通常は督促が止まることになります。
⑵ 資料の収集
自己破産の申立てを裁判所に対して行うためには、負債や財産に関する資料を提出する必要があります。
破産をする場合、毎月の家計を付ける必要があり、申立ての段階で直近の2か月分が要求されています。
負債に関する資料がそろうのは約2か月程度であり、その他家計等の必要な資料をすべてそろえるまでの期間は最短で約3か月程度となることが通常です。
⑶ 申立てから開始決定
必要な資料が集まったら、裁判所に申立てを行います。
裁判所から追加の資料の提出を求められることもありますので、申立てから破産手続開始決定がなされるまでは1~2か月程度となることが通常です。
⑷ 同時廃止の場合
債務者に高額の財産がなく、債務が増加してきた経緯に浪費やギャンブルといった問題がなく、特定の債権者にだけ支払を行った事情がないような場合では、破産手続開始決定とともに手続が廃止されます。
これを同時廃止といいます。
同時廃止となった場合、その後約2か月の間に免責に対する債権者の意見申述の期間が与えられ、特に異議がなければその期間経過後約1週間で免責許可決定がなされます。
免責許可決定は、約1か月で確定し、手続は終了となります。
⑸ 管財事件の場合
債務者に高額の財産がある、債務が増加してきた経緯に浪費やギャンブルといった問題がある、特定の債権者にだけ支払を行った事情がひとつでもあるような場合には、管財事件という複雑な手続になる可能性があります。
この場合、裁判所に納める費用が最低でも約22万円必要となります(名古屋地裁の運用)。
また、破産手続開始決定から、免責の手続までの期間も長期化することがあります。
管財手続では、裁判所から選任された破産管財人が破産者の財産の流れを調査し、債権者に分配するための活動を行います。
このため、破産者は破産管財人との面談や債権者集会への出席が義務となります。
債権者集会は1回で終わることもあれば複数回にわたることもあります。
破産管財人が行う破産者の財産に関する調査が終われば、免責の手続が始まります。
浪費やギャンブル等の理由により、破産管財人が免責調査を慎重に行うべきと判断するような場合には、免責手続の期間は長期化する場合があります。
管財事件の場合、破産手続開始申立てから免責許可決定の確定までの期間は1年~1年半程度になることがあるといえるでしょう。
⑹ まとめ
以上のように、自己破産で支払い義務を免れるのにかかる期間は、同時廃止か、管財事件か、管財事件としてどのような事情があるかにより若干のばらつきがあるといえます。
2 名古屋で自己破産をお考えの方へ
自己破産における裁判所の運用は地方ごとに異なりますので、申立てをする地域で自己破産の経験を有する弁護士に依頼することが得策です。
当法人はこれまで名古屋で多数の自己破産を扱っていますので、名古屋で自己破産の手続をお考えの方はご相談ください。
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