『自己破産』なら【弁護士法人心 名古屋法律事務所】まで

弁護士による自己破産@名古屋

「自己破産した場合の影響等」に関するお役立ち情報

会社が破産するとどうなる?【経営者向け】

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年10月11日

1 会社の破産

会社の事業をこれ以上継続することが難しい場合、裁判所に破産の申立てをし、会社を清算することが考えられます。

破産以外にも民事再生手続きによって事業の再建を図ることができるケースもありますが、ここでは、破産をした場合にどうなるかについてご説明いたします。

  

2 社長(経営者)への影響

⑴ 社長個人も破産をすることになるケースが大半

社長は、会社の債務について連帯保証をしていることが多く、その場合には、社長も自己破産をせざるをえないのが通常です。

⑵ 社長の個人財産はどうなる?

社長も自己破産をする場合、原則として、社長の個人財産は現金化されて、債権者に配当されます

もっとも、99万円までの現金や生活に不可欠な衣服、寝具など一定の財産は残すことができます(参考リンク:自己破産しても残すことのできる財産)。

⑶ 住む場所はどうなる?

ア 自宅の所有者が社長の場合

自宅についても社長が所有している場合には、破産手続きで現金化の対象になりますので、原則として残すことができません

イ 自宅の所有者が社長以外の家族の場合

自宅の所有者が社長ではなく家族である場合には、破産手続きの影響を受けませんので、住み続けることができます

ただし、会社の債務について自宅に抵当権が設定されている場合は、競売等によって現金化され、抵当権者に支払いがなされますので、原則として住み続けることができません。

⑷ 今後の仕事への影響は?

ア 将来、再び起業することはできる?

新たに起業したり、会社を設立したりすること自体は自由にできます。

ただ、社長個人が自己破産をすると個人情報信用機関にその情報(事故情報といわれています)が5~7年間残りますので、民間の金融機関から融資を受けることが困難になります。

もっとも、事業に失敗したことがある経営者向けの融資制度等もありますので、融資の可能性が全くないわけではありません(参考リンク:日本政策金融公庫・再チャレンジ支援融資)。

イ 別の会社に就職することはできる?

会社や社長個人が破産した場合でも、すぐに別の会社に就職すること自体は問題ありません

ウ 破産手続中の職業制限

破産をすると、保険代理業、警備員、弁護士、司法書士など一定の職業に就くことができなくなります。

もっとも、これは一時的なもので、裁判所による免責許可決定が確定すれば制限はなくなります

詳しくは「自己破産すると影響のある資格・職業」をご覧ください。

3 社長の家族への影響

⑴ 債権者から家族に取り立てがいかないか?

法律上、会社や社長と家族は別ですので、家族が保証人になっていない限り、債権者が家族に取り立てることはできません

⑵ 家族名義の財産はどうなる?

家族名義の財産は、家族が保証人になっていなければ、原則として破産の影響を受けません

ただし、会社の債務について抵当権が設定されている財産には、競売等によって現金化されることになります。

⑶ 破産したことが近所の人等に知られる?

破産をすると官報には掲載されますが、近所の人が官報によって破産を知るケースは少ないものと考えられます。

⑷ 社長が家族の債務を保証している場合

例えば、社長が子どもの住宅ローンの保証人になっているような場合など、社長が家族の債務の保証人となっている場合には、社長の破産によって保証人がいなくなりますので、新たな保証人を求められる可能性があります。

詳しくは「子や配偶者の債務の保証人をしている方の自己破産」をご覧ください。

   

4 従業員はどうなる?

⑴ 未払いの給料・退職金

未払いの給料や退職金は、破産手続きの中で、残っている財産の中から優先的に支払われます

具体的には、破産手続開始の3か月前までの未払い給料、および、未払い退職金の一部については、財団債権として最優先で支払われます。

上記に当てはまらない未払い給料や未払い退職金については、優先的破産債権として一般の債権(例えば、金融機関の借入金や取引先の買掛金など)よりも優先的に支払われます。

優先的破産債権は、財団債権よりは優先順位が落ちるため、財産債権をすべて支払ってもまだ財産が残っている場合に支払いがなされます。

また、会社の財産で未払い給料や未払い退職金を支払うことができない場合には、一定の条件を満たせば、従業員が国から立替払いを受けられる「未払賃金立替払制度」があります(参考リンク:厚生労働省・未払賃金立替払制度の概要と実績)。

⑵ 失業保険

会社が破産した場合、従業員は失業保険(雇用保険の失業手当て)を受け取ることができます。

受け取ることのできる失業保険の金額や期間については、これまでの賃金額や勤続年数によって異なります(参考リンク:ハローワーク・基本手当について)。

5 仕入れ先・お客様はどうなる?

⑴ 仕入れ先に未払いの買掛金がある場合

未払いの買掛金については、会社が破産すると、一般な破産債権として、財団債権、優先的破産債権の支払いがされた上でまだ財産が残っている場合に支払いがされます

⑵ お客様に引き渡していない商品がある場合

会社がお客様から代金を受け取っていない場合には、破産手続きにおいて裁判所が選任する破産管財人が、商品を引き渡して代金をもらうか、商品を引き渡さず代金ももらわないかなど対応を決めることになります。

会社がお客様から代金を受け取っている場合には、お客様は一般的な破産債権を持つことになり、財団債権、優先的破産債権の支払いがされた上でまだ財産が残っている場合に、損害が弁償されます

⑶ 破産前に特定の仕入れ先やお客様にだけ支払い等をするとどうなる?

会社経営が危機的な状況になってから、特定の仕入れ先やお客様にだけ支払い等をすると、細かな条件を満たすかにもよりますが、後に破産管財人に否認されて支払い等をしたものが取り戻されてしまうこともあります。

6 金融機関はどうなる?

会社が破産すると、金融機関の貸付金も一般の破産債権となります。

そのため、財団債権、優先的破産債権の支払いがされた上でまだ財産が残っている場合に支払いがされます

7 会社の破産に詳しい弁護士に相談を

会社の事業の継続が難しい場合には、ここまでご説明しました破産した場合の影響を踏まえて、実際に破産するかどうかの判断をしなければなりません。

様々な部分に影響が及ぶことになりますので、慎重に対応することが大切です。

会社が置かれている具体的な状況に基づいて、会社の破産に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

弁護士紹介へ

スタッフ紹介へ