「自己破産した場合の影響等」に関するお役立ち情報
自己破産で生じるデメリット
1 自己破産手続きのデメリット
自己破産手続を検討している方にとって最も関心が高いのは、自己破産後の生活がどうなるか、つまり自己破産手続を行った場合のデメリットではないでしょうか。
ここでは、自己破産手続で特に生じるデメリットについてご説明します。
2 職業・資格制限
⑴ 自己破産により影響を受ける職業
自己破産で生じるデメリットの中で比較的多くの方がなんとなく認識しているのは、職業の制限ではないでしょうか。
例えば、代表的なものとして、警備員や生命保険募集人が、破産により制約を受ける職業として挙げられます。
このほかにも、例えば、弁護士や司法書士などの士業、商工会議所や金融商品取引業などの団体企業の役員などが職業制限を受ける仕事になります。
制限される職業・資格は他にもありますが、多数にのぼりますので詳しくは弁護士に直接ご確認いただければと思います。
なお、一般の公務員や医師などは職業制限を受けることはありません。
⑵ 資格制限を受ける期間
自己破産手続で職業または資格の制限を受けるのは、破産手続開始決定から復権を受けるまでの期間となります。
復権とは何か、ということですが、破産法255条でその該当事由が4つ規定されています。
最も一般的なのは、「免責許可の決定が確定したとき。」(破産法255条1項1号)です。
免責許可決定は、その旨が官報に掲載されたのち2週間以内に不服申し立てがない場合は、期間経過と同時に確定します(破産債権者が貸金業者等の会社のみである場合、免責許可決定に対して不服申し立てがなされることはまずありません。)。
なお、免責許可決定がなされてから不服申立期間が経過するまでは、通常1か月程度かかります。
破産事件の中で最も件数の多い一般消費者の破産では、同時廃止の場合は破産手続開始決定(同時に廃止となります)から免責決定まで3か月弱程度かかるのが通常です。
したがって、破産手続開始決定から免責許可が確定するまでは4か月弱程度となります。
つまり、職業または資格の制限を受けるのはこの4か月弱の期間となります。
管財事件の場合は、破産手続開始決定から第1回債権者集会まで3か月程度の期間があり、一般消費者の破産で配当が行われるのはまれですので(異時廃止となり、免責決定は債権者集会の当日に行われるケースがほとんどです。)、こちらも4か月程度で免責許可が確定することになります。
すなわち、管財事件になった場合でも、職業または資格の制限を受ける期間としては、おおむねこの4か月の間となります。
⑶ 職業制限についてのまとめ
以上のとおり、一般消費者の方の破産(同時廃止または第1回債権者集会で異時廃止)の場合は、職業または資格の制限を受けるのは4か月程度ですが、この制限を受けるのをどうしても避けなければならないという場合は、個人再生を検討することが多いです。
3 居住制限
破産法37条1項は、「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない」と定めています。
つまり、破産手続中に転居や出張、海外旅行等により居住地を離れる場合は、事前に裁判所の許可を得ることが必要であり、この義務に違反した場合は免責不許可事由に該当し得ることとなります。
これは、転居等により破産手続の円滑な進行が妨げられることを防止するために定められているものですが、一般消費者の破産の場合は、転居(主に破産管財人によって売却されてしまう自宅からの引っ越しです)や出張により破産手続の円滑な進行が妨げられることは通常ありません。
なお、同時廃止の場合は、破産開始決定と同時に手続は廃止されますので、居住制限はありません(居住制限があるのは管財手続の場合のみとなります)。
4 まずは弁護士にご相談ください
以上が破産手続で特に生じる主なデメリットになります。
このうち、職業または資格制限は、その職業に就いている方にとっては問題となり得ますが、それ以外の方には全く影響はありません。
また、上述のとおり制限があるといってもあくまで一時的なものですので、生涯にわたってその仕事を行えないというわけではないです。
また、居住制限についても、海外出張が多い仕事をしている方には影響があるかもしれませんが、一般の方にとってはあまり影響はありません。
つまり、ほとんどの方にとっては、上記デメリットは関係がない場合が多いといえます。
破産は生活に与える制約が多いというイメージがあるかもしれませんが、実際のところは必ずしもそうではないので、ぜひ一度弁護士に確認してみていただければと思います。
当法人では、破産手続に詳しい弁護士が在籍していますので、詳細についてはお気軽にご相談ください。
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