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法人が破産する場合の税金や健康保険料の取り扱い

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年10月13日

1 税金や健康保険料の未払い

法人が自己破産をする場合、多くの事例において税金や健康保険料が未払いとなっています。

税金や健康保険料の債権者である国や地方公共団体は、仕入先等の一般の債権者と異なり、約束どおり支払をしなければ、裁判をせずに財産等を差押えする権限をもっています。

確定申告等を通じて、取引先や財産のありかを十分に把握していますので、事業を継続している法人であれば、一旦差押えをすれば、高い確率で財産をもっていきます。

取引先に対する売掛金の差押えは、取引先の信頼を大きく失わせますので、事業を続けていけなくなる大きな要因になります。

税金や健康保険料等の公租公課は、従業員の給料等と並んで財団債権や優先的破産債権として取り扱われる部分がありますので、破産債権に比べて優先的に支払いや配当を受けることができる債権であるといえます。

ここでいう配当とは、破産する法人の財産を破産管財人がお金に換えた後、各債権者に配る業務のことをいいます。

法人の破産を検討される方は、破産管財人への資料の提出等の形で協力することになります。

2 法人に財産がない場合

法律上は法人の税金や健康保険料が銀行からの借入れ等の破産債権に比べて優先的に支払われることになっています。

しかし、破産する法人に財産がない場合、実際には支払うことができません。

この場合の法人の税金や健康保険料の取り扱いは、以下のとおりです。

破産手続きが終われば法人格は消滅し、税金や健康保険料を支払う主体がなくなってしまいます。

したがって、原則として、法人の税金や健康保険料を支払う義務を負っている者が誰もいなくなるという意味において、債務が消滅し、法人分の税金や健康保険料の支払いを免れることとなります。

3 名古屋で法人の自己破産を検討されている方へ

税金や健康保険料といった公租公課の支払いの問題以外にも、法人の破産事件では個人の自己破産と比べて検討すべき事項が多く、思わぬトラブルが発生しがちです。

たとえ個人の自己破産の経験が豊富であったとしても、法人の破産事件では個人の自己破産では生じなかった問題が数多く生じてきます。

給料、仕入先、外注さんの優先関係や、関係者に対する説明の方法、法人と代表者個人の間のお金の流れをどうするか、廃業に伴う役所の手続きの方法等、法人の業態や置かれた状況によって対応方法が異なります。

事件処理の経験が少ない弁護士が法人の破産事件を取り扱うことは危険であるとさえいえます。

誤った説明の方法やお金の使い方をした場合は、債権者に計画倒産と言われて刑事事件になったり、代表者個人の借金が免責されない可能性もあります。

名古屋で法人の自己破産を検討されている方は、法人破産事件を得意とする弁護士が在籍している弁護士法人心までご相談ください。

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